愛知ライブレポ


この数日間で、きっと私は死んでしまうんだろうとは、思ってた。
(コレじゃアキラさんのライブ直前日記の書き出しとカブるけど、事実だから仕方ない)


アキラさんの愛知県ライブ2DAYS。初日の今日は、三河地方は岡崎市内でライブ。
「好奇心」をテーマにした興味深い講演会から、滑るようにライブにつながる。

一曲目の「旅立ちの歌」から私はもう普通に涙が溢れてくる。
いくらこの人の歌が好きだからって、私はパブロフの犬か。
でも泣けちゃうから仕方ない。泣きたいんだから仕方ない。体の余分な毒も一緒に流れる。

ライブ前半中、会場内の誰かから何故かジーマが回ってくる。
ひとくち飲んで、また隣の誰かに回す。
ココはアレか。コミューンかなんかか。既にみんな仲間かなんかか。
古民家風の建物の二階。ゆるりとした家族的雰囲気の中、美しい音楽会は続く。

大変失礼ではあるけれど、今日は結構お客さんが少ない。
でもだから逆に、アキラさんは実験的な感じで新曲をガスガス突っ込んでくる。
相変わらずやさしいやさしい曲ばかりなんだけど。私は泣いてばかりなんだけど。



突然だけど、アキラさんがらみでは、単なるライブのハズなのに毎回前後に
ハンパなく強烈な人に出会ったり、ハンパなく強烈な出来事がおこったりする。
そんで自分のダメさ加減や自分の小ささ加減を思い知らされたりして、
普通に自分がイヤんになり過ぎて死にたくなるコトが何故か良く、ある。

でも人は失敗した分だけ、苦しんだ分だけ、自分をキライになった分だけ、
強くなれるし、やさしくなれるから。
アキラさんのライブに関わらせてもらったこの二年間、
そうして私は成長させてもらったから。

シンドのなんてホントに苦痛だし、ない方が全然イイし、出来れば避けたい位だけど、
でもやっぱり、ソレが一番人間が大きくなれる方法だから。

だから今回の地元愛知ライブでは、スタッフも知り合いばかりだし、遠慮なく率先して
失敗して、ハジかいて、痛い目みて、そんでその上で学ばせてもらおうと思ってた。

初日の岡崎ライブ告知には、「楽器持込可」って銘打たれてた。
だから私は巫女のパフォーマンスをする時に使用する「神楽鈴」を持ち込んでいた。

目的は神楽鈴の技術向上じゃない。
「自分をなくす事」だ。


私は文章を書いている。
上手い下手はおいといて、伝えたい事を伝える為には、心の一番奥(「無意識層」とか
呼ばれるらしい)から湧き出てくる「想い」を文字にすれば良いだけで。
でもカッコイイ言葉で埋めようとか、自分を凄い人に見せようとか、そういう余計な
「自意識」にいつも足止めをくらわされる。

でも人間は「自分の為」じゃなく「人の為」に心から行動する時、余分なソレが消える。
もし今日のライブに楽器で参加出来るなら、私はアキラさんの「道具」になってみようと
思ってた。
アキラさんの想いを、歌を、お客さんに更に深く伝える為の道具になりきろうと。

でも別にアキラさんに「自分のすべてを捧げちゃおう」とか、そういうんじゃないんだ。
もしソレが本当にうまくやれれば、「私は私ではなくなれる」ハズだから。
一瞬でも「アキラさんの為」に、と言うよりも「その先にいるお客さんの為」に、
「誰かの何かを祈って動くイワセユウコになれるハズ」だから。
目立ちたい!とかそういう自我を一切捨てて。

そういう意味で、自分をなくせるハズだから。

そしてもし本当に、その「自分をなくして」「心の一番奥の想いだけで」動けるように
なれば、私の文章で更は私の望むモノになるだろうから。


だから自分の為にやるんだ。
でもまあおそらく、普通にうまくやれないだろう。リズム感とか普通にないし。
ぶっちゃけ楽器とか何ヒトツ出来ないし。
小学生の頃、習ってたピアノがイヤ過ぎて家出したくらいだし。

でもまあ今日はお客さん少ないし。アキラさんも実験的なコトやってるし。
失敗させてもらおう。ハジかかせてもらおう。勉強させてもらおう。

だからアキラさんが「お客さんにジャンベで参加して欲しいんだけど」って呼びかけた時、
「神楽鈴で参加してもイイですか?」って手をあげたんだ。



曲目は「だいじょうぶマイフレンド」。
良かった〜。知ってる曲だ。ダイブ安心。大コケはしないだろう。

そういえば一年半前にやった名古屋ライブでも、開演3時間くらい前に突然アキラさんが
「この曲でスタッフにコーラスやって欲しいんだけど」って言い出して。
しかも参加するスタッフの三人中、二人がこの曲を聴いたコトもない。という
ていうか正気!?つうようなギャグみたいな状況で。
でもリハを一度二度やっただけで、何とかカタチになって。
そんなコトをちょっと思い出したりした。


曲が始まって、普通にどう神楽鈴を合わせれば良いのかわからない。
つーか最早、演奏のジャマしてるだけなような気がしないコトもない。
やべえ〜ホント、普通に迷惑かけてるだけかも。軽く途方に暮れる。
でもすべては始まってしまったし、やるしかないし。

わかんないけど、私がやるからダメなだけで、楽器である神楽鈴自身に好きなように
動いてもらえばうまくいくんじゃね?
神楽鈴、まがりなりにも楽器なんだし。私より音楽に精通してるだろうし。
第一、神社で使用されるような神様の楽器なんだし。
だから神楽鈴が主人で、私が逆に道具みたくやればイイんじゃね?
ん?私おかしいコト言ってるか?

サビの合間に、気功やる時にサポートしてもらうつもりで使う数珠にキスするみたく、
神楽鈴にキスする。
よろしくねって、ありがとうねって。そして「好きなようにしてイイよ」って。
全身のチカラを抜く。

自我を放棄した途端、曲に合わせて体が動きだした。神楽鈴がうたいだした。
両腕が、体で覚えてる巫女舞みたいな動きすらする。私の中の、不思議なモノが
動き出した感じ。
まあ曲も後半にはいって、単純に慣れてきてリズムがとりやすくなっただけかもだけど。


神楽鈴はどうにかなったから、あとはソレ以外のトコロだ。
「だいじょうぶマイフレンド」。
応援。喜び。ちょっとの情けなさ。ソレゆえの生きてく愛しさ。
この曲は、私の中でそういう歌って認識。
アキラさんのその想いが倍増して伝わるように、神楽鈴にお願いする。
シャンシャンシャンシャン。


でも、、、私個人としては、お客さんみんなに光に包まれてもらいたい。
おそらくアキラさんは、この曲ではソレを望んではいない。
ソレを望むコトは、既に私は道具である事に手をあげておきながら放棄してるって事か?
セッションつうのは参加者がリーダーの道具じゃなく、全員の相乗効果でより良いモノに
するモノな訳で、じゃあバランスをとって、より良い演奏になるよう心がければ、
私は別に好きなようにしても良いのか?祈っても良いのか?

ていうかまず「祈る」って行為自体も「自我」なのか?
考えてるって時点でまだ「無意識層」ではないのか?
ギャー!ぜんぜんわかんねー!!!!!


んんん、でも、まあ、イイや。
祈るくらい自由だろう。
自分の為に祈る訳じゃないし。お客さんの為に祈る訳だし。
勝手に祈ろう。


シャンシャンシャンシャン。
光。そう、光。光。喜び。嬉しさ。光。
大丈夫マイフレンド。みんなが、お客さんみんなが、光に包まれますように。
大丈夫マイフレンド。包まれますように。
堂々と間違えろ。光が、ふり注ぎますように。
生きてゆく価値がある。光、光、光、光、そう、光!!!!!!!!



ラストでギターががなるから、神楽鈴も一緒にシャンッ!って閉じた。
他者の為に心から祈る事は、自分をなくす事?
いまだわからない。

でもまあとにかく目の前のお客さんはみんな笑顔だから。
あとで少し話をしたお客さんもこの曲が一番良かったって言ってくれたから。
少なくともジャマ全開ではなかったようだから。
自分をなくす事が出来たかどうかはわからないけど、今日はコレで十分だ。


アンコールの「Eternal soul」で、空いた最前列に滑り込む。
今回は終始最終列にいたんだけど、最後くらいは一番前で聴かせてよ。

相変わらず歌を聴いて普通に泣いちゃう。涙が溢れる。ついでに鼻水も流れる。
気がついたら、汚いけどヨダレも垂れてた。
毎回カオをぐしゃぐしゃにして泣くけど、さすがにヨダレがたれるのは始めてだ。

神楽鈴で真剣にお祈りしたから、私の中の色んなモノがもの凄いオープンになって
いるのかも。
良いコトだけど、女子として、つーか人間としてどうかとは思うけどな。

でもアキラさん、こんな少ない客数でも、命を振り絞って声を張り上げて歌ってくれてる。
ぜんぜん手ェ抜かないのな。常に全力なのな。ホント、すげえなぁ〜。
今日も、「祈りで病気を治す」っていう、嘘みたいだけど既に何例も成功例をもつ
(癌までも完治させた!)「祈りプロジャクト」の為に「祈りの歌」を歌ったりしてて。

ホントいつもいつも人の為に頑張ってて。まあ自分の為にやってるんだろうけど。
ソレでも、その姿勢にはいつも希望のような何かを見せつけられるよ。
アナタこそ、どうか光に包まれてよ。光をそそがられてよ。でも既に、
いつでも光にまもられているんだろうけどなぁ。



そんな感じで大拍手のままライブは終了。恒例のサイン会、雑談。
機材を片付けつつ流れから、日本古来の歌、しかもひらがなソング「ふるさと」と
「海は広いな大きいな」をスタッフを含めても超数人のお客さんの前で披露してくれる。
うわ〜すげえ贅沢!!

個人的には「そらにロケット浮かばせて行ってみたいな、よその星」なんて替え歌が
ビリビリきた。行きてえ〜!よその星〜!聴きながら子供に戻ってぐねぐね踊る。

アキラさんはさぁ、歌で喜び怒り悲しみ嬉しさの、すべての感情を表現するじゃん?
もし地球に宇宙人が来たら、代表としてコミュニケーションをとるコトになりそうなのは
まず身体表現を使うバレリーナだって言われたりするじゃん?
でも私はその役割、アキラさんでもいけるんじゃねえのって、想ったよ?




今日のライブ会場から徒歩圏内の川沿いは、県内有数の桜の名所。
ライトアップされた夜桜はきっと美しいだろう。
花びらは風に舞って私達を嬉しく包むだろう。
でも私達はまだ桜に酔う余裕はないから。まだ走らなきゃだから。

撤収を終え機材を積んだ車は国道にすべり込み、スピードをぎゅんぎゅん上げる。
薄桃色のやさしい「何か」にくるまれた我々は、ブレーキなんて必要ないんだ。

だって後はスピードを上げ続けて上げ続けてそしてそのまま、
「花」そのものになってしまえば良いだけなんだってもう、
知ってるから。





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