バーニングマン/終わる


マンの巨大な偶像が燃えた翌日の夜、シャンティーの象徴である、
寺院をカタチどった大きな建物が燃えるのを見てしまって、私は、

発狂してしまった。


マンが燃えて、全ては終わってしまった。終わってしまったのだ。と少し
モノガナシイ気持ちでマンを旅立とうとしていたけれど、違った。

今日の夜はマンよりも、更に会場奥に隠れるように存在する、テンプル。が、
燃える。裏マン。と言える、テンプルが、燃える日だ。

「愛しているよ」「世界が平和でありますように」「笑顔が溢れますように」
「争いの無い世の中でありますように」「みんなみんな、大好きだよ」
高さ何十メートルもある、ちょっとしたビル程の大きさの、大きな大きな
テンプルいっぱいに自由に、または勝手に書き込まれる、各自の想い。
そんな祈りを包んだテンプルも、燃える。
大きな炎を上げて、夜空を明るくして、崩れ落ちるように、燃える。

そんなテンプルを遠巻きに、見る。

テンプルを燃やす炎は、昨日のような恐怖は無くて、ただただ穏やかな炎で。
ソレはまるで、この世に生を受けたコトをつい神様に感謝してしまうような、
地球上の全ての傷を癒すような、地球上の全ての罪を許すような、
優しい優しい、炎。

気がつくとテンプルを取り囲む観衆全てが抱き合って泣いている。
平和と、希望と、夢と、光と、調和と、虹と、鳥と、花と、星と、宇宙と、生命と、
そして、愛を、祈って。そして、感謝の、想い、で。

何だか知らないケド、私まで涙が溢れて止まらなくなって。
カッコ悪いから拭おうかと思ったケド、そんなみっともない私も私だ。と思って
流れる涙をそのままに、そして声を出して泣いているウチに、私はたまらなくなって、
感極まって、ココロの導くままに、更に大きな声を上げる!
もう周りの景色はシャットアウトだ!私は私しか見えない!

キィヤァァァァァァァアァァアァァーーーーーーーーーー!!!!!

私は発狂してしまった!!!


そしてその叫び声に共鳴した周りも、叫ぶ!
傍から見たら、シッ。目を合わせちゃダメですよ!的なキチガイ集団だ。
でも叫ばずにはいられない!!!!声を、上げ続ける!

もうイイんだ。誰かに何か思われてもイイんだ。私は私なんだ。
私がどう思うかなんだ。私は私のココロのままにゆけばイイんだ。
私はテンプルにユルされたんだ。

だから、テンプルに向って叫ぶ!
周りも、叫ぶ!叫ぶ!!叫ぶ!!!

知らないヒト同士の沢山の叫び声は重なって、溶け合って、一つになって、
長い長いレクイエムになる。
まるで永遠かと想う程、長い時間繰り返される透き通った叫び声は、
遠く遠く空に吸い込まれてゆく。
それはそれは、

祈りに似た、歌。


そうして私は笑顔を、取り戻す。
ああ、今まで私を傷つけたヒト、今まで私を苦しめたヒト、私をイヤなキモチに
させたヒト、もうイイよ。もうイイよ。随分長い間引きずっていたりしたケド、
もう笑えるよ。もう笑えるよ。

全部全部受け入れてあげるよ。愛してあげるよ。
全部全部許してあげるよ。愛してあげるよ。

むしろ、キミ達の幸せですら、祈ってあげるよ!!!!!!


でもだからって自分の罪が許されるとは思わないよ。
今まで沢山のヒトを傷つけたよ。今まで沢山のヒトを苦しめたよ。
罪は背負うよ。背負って生きるよ。
同じコトを繰り返さないように繰り返さないように。

今まで自分に関わってくれた全てのヒトにありがとう。
みんながいてくれたからこそ、今の私が、いるよ。
ありがとうありがとうおめでとう。
ありがとうありがとうおめでとう。

そして地球上に生きとし生きる全ての生き物が平等に幸せになりますように。
笑えますように笑えますように。
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ。

そして気づく!マンが燃えたコトが破壊で、テンプルが燃えたコトが再生だ!
そして後はお花畑に違い無い!!!!!

一人で発見して理解して納得していると、友達と目があう。少し、笑う。

さあ、もう、出発しなくっちゃ。
靴の中に入った砂を出して、襟を正すつもりで履き直す。
新しい、出発だ。


そして私はテンプルが完全に崩れ落ちてしまうのを見る前に、
ゆっくりとキャンプに帰る。

一週間暮らした町はもう随分静かで、帰る車が砂を踏んで跳ばしてゆく。
空を見上げるといつも通り星はキラキラしているけれど、
いつも通りの爆音は、もう遠く遠くにしか聞こえない。
ヒトは既にまばらで、皆どこかさみしげで、もう、終わってしまうんだ。
という想いを、ひしひしと感じる。
私は冷たくなった手をポッケに突っ込んで少し早足で歩く。
吹く風は冷たくて、でも優しくて、頬を撫でる。
せめてみんなが笑えますようにと、少し歌を、歌う。
もう一度、祈る。笑えますように笑えますように笑えますように。



そうして、本当に本当に、マンは、終わったのです。

翌日、出発の際の空は朝から相変わらず高くて、太陽は相変わらず凶暴で、
でも相変わらずの砂嵐を起こして私達を困らせる風は吹いてなくて、
空気は穏やかで、何だか「撤収!撤収!ハイハイ帰るよ帰るよー!!」とか、
バカバカしい程にスッキリしたキモチで、プラヤを後にするコトが出来ました。

来年の今頃は何をしているのか。ドコにいるのか。すら分からないケド、
私はまた必ずプラヤに戻ってくるんだろうな。という予感と期待を抱いて。
随分と沢山の土地を旅した気がするけれど、こんなに衝撃的で、人生ひっくり返る
ような場所って、他に無いです。
「旅してドコが良かった?」と聞かれれば、私は間違い無く
「バーニングマン!」と答えるでしょう。ソレほど素晴らしい場所でした。
だから来年も再来年もその次の年も、毎年毎年、プラヤに帰って、来ます。

ああああ、全てが全てが美しいよ!




さて、マンには、アナタが望む、全てが、あります。
アナタが強く望めば望む程、望んだモノは手に入ります。
前記したような音、デコ、パフォーマンス、ダンス、外国、笑顔、爆笑、
友達、仲間、恋人、そして行動力、瞬間判断力、コミュニケーション能力、
ポジティブシンキング。そして、フラットな、ココロ。
そういうモノ全てを、望めば望んだだけ、手にいれるコトが出来るでしょう。
人生観が変わる!とまでは言い切らないケド、確実にアナタの人生は大きく
転回します。若さゆえの自分探しをするには、うってつけの場所です。
何かに迷っているならば、確実に答えは出るでしょう。

もちろん、ひょっとしたら全部が全部、インスタントかも知れないケドね!

そしてもちろんそんな堅苦しいコトは言わず、わーいわーいとニコニコはしゃいで
遊んでるだけでも十分な程に楽しいですけどネ!!!!

私が探していたモノ。は私が手に入れたかったモノは、マンで出会った友達の
コトバを借りれば、そして恥ずかしげも無く言えば、
「人間」というモノ。でした。
自分をも含めた、人間。
随分沢山のヒトに優しくしてもらって、随分沢山のヒトに助けてもらって、
そしてマンで出会った沢山のヒトに、大変沢山のコトを教えられて、ソレで、
人間ってスゴイな。ステキだな。とか沢山沢山思うコトが出来て、だから、
人間というモノを、もっともっと信じよう!もっともっと愛そう!と、
ココロから思えるコトが出来ました。
人間万歳!!!!
さて、アナタが手に入れるモノは何でしょう。

来年のマンで、私はアナタと笑顔でハグが出来るコトを、楽しみにしています。

ソレでは砂漠で会いましょう!!



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