2009バーニングマン


EPISODE:1
ファーストバーンの時、私は25歳のどこにでもいる普通の女子だった。

何をしたら良いのか、何が好きなのかもわかってなくて。夢に向かって頑張ってる友達に比べて、
自分はダメだなぁって思ってた。
スローガンの「傍観者になるな」は実際ハードル高かった。表現とか何もやってなかったから。
でも「全力で楽しむ」、ソレだけで十分傍観者じゃなくなるって会場入りして気がついた。

一人で行くのは怖かった。現地での移動手段もなかった。ネットで見かけた人に面識一切ないけど
メールしてみた。出発1週間前だったけど、カーシェア&キャンプに混ぜてもらえるコトになった。
もちろん英語は苦手だった。でも単語英語でもコミュニケーションは結構とれた。

そうやってなんとかバーニングマン(以下「マン」)にやってきた。何の取り得もない若造だったけど、
ソレでも砂漠を背にする頃にはソレなりに小さな「何か」を見つけたりした。

マン3歳時は会社員で時間がとれなかった。でも頭をさげまくって土日含めて休暇を5日確保した。
往復に3日かかって、会場に2日しかいられなかった。ソレでもなんとかマンにやってきた。
4歳の時はリアルにお金がなかった。でもクレジットカードでムリヤリ航空券を買った。
返済で死にそうになるのは目に見えてた。ソレでもなんとかマンにやってきた。

そんな感じで5歳になるまで、毎年だいぶムリしながらもマンにやってきた。

だってマンへ行くと本当にたくさんのモノをもらえてしまうから。そう例えば。
切磋琢磨出来る友達。サバイバル能力。悩みの答え。拡大するキャパシティ。異常なエネルギー。
また言葉に出来ない、ソレ以上のモノ。
そういうすべてに出逢いに、今年もまた私はマンへやってきたのです。



EPISODE:2
マンは決してラブ&ピースなだけのイベントじゃない。
普通に人種差別もあるし、日射病にはなるし、食中毒にもなる。
テントは強風ですっ飛ばされるし、食料を盗難されるコトもある。
良くない何かを摂取して、パトロール中のポリスに逮捕されるコトもある。
またお酒で酩酊してるウチにうっかり後悔するような一夜ラブしてしまったり。

言い過ぎだって?でも「ぜんぶ私のまわりでリアルにおこった現実」だから。


ソレでも私はマンへ向かう。
呆れるほどの壮絶な大自然に愛しく抱きしめられる為に。
ラッキョみたいな帽子を被ってチュチュのスカートをはくおっさんとハグをする為に。
ビカビカライトを点灯させながら砂漠の闇を突っ切る、ちんこオブジェを掲げた巨大なバスに
必要以上にハッピーな音楽を浴びせられてしまう為に。

さあ、勢い余ってそのままちんこバスに飛び乗ろうか。
音に合わせて勝手な歌を大声で歌い出しても問題はない。もちろん奇声を発しても大歓迎。
そのラッキョじじいと手を繋いで、アホ全開なステップでうふふと舞ってもイイ。
そんな風景に「みんなは凄い。自分はダメだ」と強烈な自己否定にはしったりする場合もある。
ネガの反動で、突然オタケビをあげながら全裸に靴下だけの姿になって走り出すかも知れない。
気がつけばサンライズ。とりあえず砂漠の果てまでダッシュしてみたり。
もちろんすべてに一切の興味を示さず、何もせずにそのままテントで一日中酒だけ飲んで
寝ていてもむしろ最高。

そんな風に私は自由になってゆく。
日常で縛られてる意味不明で不自由な「鎖」がはずれてゆく。
誰に気兼ねするコトなく、泣いたり叫んだりわめいたり遊んだり祈ったりする自分になる。
感情のおもむくまま、悲しんだり腹をたてたり嫉妬したり喜んだり嬉しんだり自分になる。

ソレは、にんげんとして本来の自然なままの自分。

そういうのを取り戻す為にも、私は今年もマンへ還るのです。



EPISODE:3
また振り返れば、マンには非常識なジャンプ力をもって毎年己の限界を越えさせられていた。

まず初年度には、アメリカ上陸&右車線運転デビューを実現。全身ボディペインディングも。
翌年はバックパックを紛失した。パスポートも航空券もないのに(ポッケには現金50ドルと
リンゴのみ)ムリヤリ帰国にチャレンジ&成功。続いて結婚式巫女&護摩焚きお手伝いをしたり。
また某テーマキャンプで魔法の正式なセレモニーを執り行わさせて頂いたりした。

ソレは今思えば普通に自分人生の中でも特筆すべき超大イベントばかり!
当時の自分には果てしなく高いハードルだったかも知れない。絶望や焦りや不安がグルグルしてた
かも知れない。意外と「でもまぁどーにかなる」って考えてたかも知れない。
でももうとにかく、やるしかない状況で。

そしてまんまとソレを越えた私は、もうソレをする前の私ではなくて。

そんな風に「自分を越える自分に出逢う」為にも、私は今年もマンに向かうのです。



EPISODE:4
とか、うん。高尚ぶった顔で私がフガフガ語っても、
「んなコトねえよ!マンは単に童貞捨てる場所だよ!」とか一部の西海岸ヤングに逆ギレされるかな。
でもイイや。あくまで私の現実なんだもん。あくまで私にとってのマンなんだもん。

とにかく私はあなたがマンに行くのを望んでる。
レイバーが最後に行き着くトコロだとか、人がバンバン死ぬトコロだとか聞くけれど、
別にそんなコトは全然ないからとりあえず行ってみよう。

そう例えば、パツ金のボインちゃんの全裸を見にでも。
24時間体勢で音が鳴ってる場所に踊りにでも。
現代アート最前線に勉強しにでも。
ラブが溢れまくる場所を体感しにでも。
新しい友達をつくりにでも。
旅の途中にでも。
オレ、マン行ったコトあるよ。って自慢する為だけにでも。
理由はどうだってイイから、とにかくマンへ行ってみよう。

そんで、次の扉を嬉しく開いてしまおう。
そしたらきっと、今よりもっとステキなあなたに、なれるから。
なれるから。
ソレは、保証するから。
ねえ?

ソレではみなさん砂漠で会いましょう!!!!!!



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