ヒロシマ:03


火事から身を避けるために、川には、沢山の人が来ていた。
というより、浮いている裸の人の死体で、川は埋まっていた。
私はその場からも逃げたかったけど、街の火事は大きく燃え上がっていたし、
逃げ場は、もうここしか無かったし、だから、雄大を連れて、川辺に膝を抱えて、
座り込んだ。

雄大が言う。
「お母さんはどうなったの?大地は?お家にむかえに行こうよ!」

何も言えない私。雄大は、何度も私にそう言って、でも私が返事をしない
ものだから、もう、泣き出した。
「お姉ちゃん〜。お母さんのところ行こうよ〜。お母さん〜。お母さん〜」
「うるさいっ!私だってどうしようも無いんだから、黙れっ!!!」

雄大は一瞬、びくっとなって、そして、泣き止んだ。

川にやってくる人はどんどん増えてくる。
死体もどんどん増えてくる。

本当に何がおこったんだろう。地震とかの災害?それにしては、死に方がおかしい。
やっぱりお母さんが言ったように、アメリカが新型爆弾を落としたのかな?

そして・・・一息に沢山の人が死んだ?でも、火事のおかげで生き残った人まで、
死ぬ?
せめて、せめて、火事がおさまってくれれば・・・。神様、神様、
助けて・・・。

不意に、頭上に水滴があたった。
何・・・?

ざあああああああ・・・

あ、雨だ!
そう、雨が、雨が、降り出したのだ!

!!!!!!!!!!!!!!!

これで街の火事もおさまるかも・・・!!!神様・・・!!!

すぐさま、雨は雨足を強くした。
でも、私は、ぞっと、寒気を感じた。
何故なら、その雨は、不吉さを、想像させる、「真っ黒色の、どろっとした、
色のついた雨」、だったから。



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