ボリビア:2 「空手の先生の家で死にそうになる」


お兄ちゃんが空手の先生をやってるボリビア人のホセの家に行く。

茶帯のお兄ちゃんの部屋には沢山の空手大会の表彰状とトロフィー。
でも良く見るとサッカーのトロフィーも混じってる。

そして部屋の隅には大量のビーズと作成途中のビーズネックレス。
空手の先生だけじゃ喰っていけないから路上アクセ売りもやってる様子。
やりたい事だけじゃやっぱり喰っていけない現実が、ちょっとリアル。


「日本に憧れている。」
お兄ちゃんが随分大事そうにしまい込んである日本グッズを見せてくれる。

日本刀!
でもチリで買ったらしいし、柄に MADE IN GERMAN とか書いてある。

日本のCD!
でも中華料理屋で良く流れてるカンジの中国の伝統音楽。

「空手道」を書かれた自分タペストリー!
でも印刷屋さんが日本語が読めなかったらしくて印刷の天地が逆。

既に全然日本文化では無い適当な間違え方をしているけど、
「夢はいつか日本に行く事。」とあまりに切実に語られて間違いを突っ込めない。

日本語で何か書いてくれ。とねだられて、
ボリビアはいかに素晴らしい国か。いつかまたこの国を旅したい。等々書く。
超喜んでくれて早速壁に貼ってくれるもやっぱり天地が逆。


深夜の帰り道、バーの前の路上で半裸で小競り合いしてる男子二人組がいて
ケンカだ。ヤベー。とか思っていたら二人は急にしっかと抱き合ったりして
ただのゲイの痴話げんかだと気づく。

何だよ。なんて言いながらホセとその友達とボリビアでも放送されている
ドランゴンボールZの歌を日本語とスペイン語で酔っ払いなので大声で歌う。
「ヘッチャラ!」の部分だけハモる。
昼に行った安食堂ではピカチュウの眼とか口のついた黄色の帽子を
嬉しそうに被ってるおっさんに給仕される。

TOYOTAとSONYと空手とマンガとアニメ。
ボリビア人の日本のイメージは何か少し偏ってるケド、凄く愛してもらっていて、
そんな国に生まれた自分を少し嬉しく思う。


例えばアメリカだとアイスクリームとか「超甘い」か「甘い」しか、無い。
どっちにしろ甘いしか、無いんだけど。
でも日本ならアイスクリームでも「ほろ苦い」とか「クリーミーだけど後味スッキリ」とか、
随分奥行きが、ある。
ソレに春夏秋冬なんて全部揃ってる国って、そんなに無いよ。
初夏もスキだけど、秋から冬に移り変わる時の葉っぱがはらはら落ちるモノ寂しい
カンジとか、最高だよね。

日本にいた時は想いもよらなかったコトを、外の世界に出て初めて、気づく。
多分コレからも、そういう日本の良さとか、知るんだろうな。

日本、スキだよ。愛してるよ。
ドコで手に入れるのかネットカフェの壁に貼られたエヴァンゲリオンとらぶひなのポスター、
あとマンガフェスティバル(コミケみたいなモノ?)告知チラシとか見ながら
ボリビアのオタク度っぷりにちょっとヒきつつ、想う。



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