ペルー:2 「どうして良いかわからなくて死にそうになる」


現在、ペルーの首都リマで普通に本気迷子。

バスターミナルに行きたいのだ。次の街ナスカに行きたいのだ。
でも歩いてたらバスターミナルへの方向を見失った。今自分が街のどの辺にいるのかもわからない。
宿に戻る道ももう不明。日本語の市内地図片手にダイブ泣きがはいる。

アジアだったら、どんなハンパない奥地でも何故か必ずいる日本人旅人に助けてもらえた。
北欧や北米、オーストラリアだったら、案内標識もたくさんあったし、カタコト英語で聞けばどうにかなった。
でもペルーには日本人なんてよっぽどいないし、案内標識もたくさんはない。しかも基本スペイン語オンリー。

誰かに道を尋ねるにも「バスターミナル」って単語が私にはまずわからない。疑問形ももちろん知らない。
そのレベルでは何か返答してもらっても、おそらく何ヒトツ理解出来ない。
どうして良いかわかんなくてもう普通に泣きそう。



とりあえずタクシーを拾って地図を見せれば、簡単にバスターミナルまで行けるだろう。宿泊先にも帰れるだろう。
宿で探せば同じ街に向かう人もいるだろう。バスにも一緒に乗ってくれるだろう。
でもこれから私は一人でこの南米を旅するんだ。
リマの空港から宿までは「勢い」でどーにかなったけど、コレからはそういう訳には絶対いかない。ココでちゃんと
頑張っとかなきゃいけない。

ていうかコレくらいのことが出来なくてどーすんだ!先が思いやられるぞ!頑張れよ自分!!!!!!!!!!!!!!

そのまま半泣きで街を徘徊。とにかく徘徊。徘徊徘徊徘徊。でもマジでどうしようもなくなって単語英語と
ジェスチャーでムリヤリ道ゆく人に尋ねたり。でもお互い何言ってるのかさっぱりわからなかったり。
車の絵を描いたらまんまとタクシー乗り場に案内されたり。


でもそんなんしてるウチに何とかバスターミナルに到着!
うわ!すげえ!全然言葉通じてねーのにちゃんと着いた!!半日くらいかかったけど!

興奮状態で窓口に駆け寄る。言うべき言葉がわからないので「ナスカ!ナスカ!」とだけ叫ぶ。
窓口のお姉ちゃんが二言三言聞いてくるけど、とりあえず小首だけかしげてみる。
でもそんなアホツーリストには慣れてる様子で、お姉ちゃんは時間と金額を書いた紙切れを差し出してくれる。
事前に聞いてた料金と同じ。ボラれてはいない様子。お金を渡す。代わりにペラペラの黄色い用紙をくれる。
コレは・・・バスチケット!!!!

おおおおおおおおおおおおおおおお!買えた!買えたよ!チケットぉ〜!!
一人でバスターミナルまで来れたし、チケットも買えた!
すっげえ普通のコトなんだけど、ハンパなく嬉しい!んぎゃーーーーー!!!
おかーさん、ゆーこはやったよ!頑張ったよ!今夜は赤飯だよ!!わああああああ!やったぁ〜!!!!!!!!!

スキップ模様で宿に向かう。また迷子にならないように出来るだけ大通りを選ぶ。地図と道を執拗に確認する。
すると30分くらいで普通に到着。ドレだけ回り道しとんねんと!!



出発は22時。でも言葉のわからない国で1人でバスに乗るコト自体がもう超怖ええし、
乗れなかったらどーしよう!とかいまだ不安全開なので20時にはターミナル待機。

スピーカーから流れるのは南米伝統的音楽の「フォルクローレ」。
前はイメージで「大地と緑と太陽!生きてるって素晴らしい!」って曲だと思ってた。でも大抵
「ねえ、お嬢さん名前を教えておくれよ。お願いだよ」とか歌ってるらしく、ソレって黒人が
「オレのカアちゃん、ケツでかくて最高!」って言ってるのと何ら変わらない、という事実に大変驚愕。
世界中、どこへ行っても人間の頭の中はほとんど同じなんだなぁ。ていうか今もそんな曲が流れてるのかなぁ。
とか思うと、あんまりバカバカしくて不安も少しはまぎれる。



予定を少し遅れてバスがやって来る。私は行き先を何度も何度も確認して乗り込む。座席に体を沈めてようやく一息。

あ〜私は、私はホントすげえ弱虫だ〜。道に迷えば泣きそうになるし、バス乗るだけでこんなにビビっちゃう。
一人でアフリカ行っちゃう女子もいるのに。心底ダメ人間だよ。
でもこの旅でいろんなことを、一人で頑張ってみるんだ。
そしたら、そしたら前より少しはマシな私になれるかな?強い私になれるかな?

ていうかちょっとくらいは、なれるだろ!
ココまでやってんだから!なれねーと困るっつーの!んぎゃー!!!!!


窓から見える空には日本と反対側に欠けた三日月。
ドコに行っても何してても変わらずモガモガしてる私を乗せたバスは
新しい街に向けてブロロン大きな音をたててゆっくりと、動き出した。



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