ペルー:5 「世界遺産マチュピチュで死にそうになる」


「チュとかピチュとかの語感がカワイイよね☆ピカチューみたいだよね!」とか
アタマが弱い発言をしつつ、世界遺産である天空の城「マチュピチュ遺跡」に行く。


マチュピチュのふもとの街までは夜行列車に乗る。
ぼんやりと薄暗い車内にはランタン型のライトの燈色の光が揺れる。

4人がけの向かい側の座席には、パツパツショートパンツを履いたおっさんと
ミニオーバーオールを着たおばはんがお揃いのポロシャツを着て超イチャついてる。
テニスクラブのコーチと生徒の不倫カップルにしか見えないけど多分、夫婦。

イラっとしながら窓から顔を出せば、ごうごうごうごう何かの音。
川の音かな。風を切る音かな。闇の音かな。
誰かがこの夜行列車は、星を走る銀河鉄道なんだよ。とか言ってたな。
キラキラ光るプラチナチケット。どこまででも行けるんだ。
そうか、じゃあ私はジョバンニだ。
ねえメーテル、私は機械の体を手に入れる事は出来るかな。
鉄の心臓は手に入るかな。人間の心は手に入るかな。
ちくしょう!オズはドコだ!オズはドコだ!
つーか私は一体ドコに行くつもりなのかな。

妄想列車は走る走る。


街からマチュピチュへ向かうバスの車窓からは白い薄い雲がもくもくとかかる細長い山々が見える。
何だか水墨画に描かれる仙人が住んでいそうな中国奥地の山みたいだ。

バスはうねうねと山を登り、そしてとうとう古代都市マチュピチュだ!

敷地内には家々、広場、段々畑、神殿、水路、日時計、墓地。
普通に街、だ。人々が営みを繰り返していた街だ。
古代インカ人も毎日泣いたり笑ったり愛し合ったりしてたのかな。

そしてマチュピチュ遺跡全貌を臨む高台からの風景は、
あーあーあーゴメンゴメンゴメン。とかムダに謝ってしまうような壮絶な風景!

上手く説明出来ないケド、もし私がフランス人だったら「トレビアン!」って言うね!
フランス人じゃ無いから言わないけど!!
芝生の上に座り込んで時間を忘れてしばし眺める。

ココにスピーカー持ち込んだら超楽しいダンス出来そう!とか言いつつ、
友達にペットボトルで岩を叩いて音を出してもらって少し、踊る。


マチュピチュの背後には「ワイナピチュ」という山がそびえたっていて、結構急な山道。

ゼイゼイ息を切らせて登っていると、一見病弱そうな丸メガネに短髪の白人少年に追い抜かされる。
「あんなハリーポッターみたいなヤツに負けるか!」と超失礼なムキになり方をしてガンガン登る。
続いて山頂手前でアメリカ人のおっさんに「もう少しで山頂だよ!山頂は素晴らしい眺めだよ!
おっと、キミは雨避けのポンチョを着ているね。下りはそのポンチョで鷹のように羽ばたいて
頂上からふもとまで飛び降りれるよ!!・・・なーんてジョークだよ!アッハッハッハ!」
とか超くだらないコトとか言われて、しかも少し高い場所にいるおっさんのミニミニショートパンツから
鮮やかな色のビキニパンツとか覗かさせられて、少し疲労が積もる。


雲に限りなく近いワイナピチュのてっぺんでは、オーストリア人がアヒルとブタのぬいぐるみと
一緒に記念撮影中。ぬいぐるみ2匹は親友で、どこに行くにも一緒らしい。
相変わらずグリンゴ(欧米人に対する差別用語)の考える事はわからないなぁ。とか想いながら
眼下に広がるマチュピチュを眺めながらサンドイッチで世界イチ贅沢なランチ。


何でこんな高いトコにこんなモノ作っちゃったんだろう。どうやって作ったんだろう。なんて
古代の謎に想いを馳せていたんだけど、パチクリ目の、ちょっとラクダに似てる動物リャマが
通りかかって「リャマ、かんわいい〜。」とか追いかけてたら、全部、どうでも良くなりました。


翌朝6時前に発車する帰りの列車に乗る為に、朝靄の中を枕木を蹴飛ばして急ぐ。
線路を急ぐ僕らはまるでスタンドバイミーのよう。
死体は見つかるかな?
大人になれるかな?
大人になれてたらこんな旅してないよな。とか、ちょっと吐き捨てるように想いながら
動き出す列車に飛び乗る。



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