スペイン:2「泥棒の被害に遭って死にそうになる:前半」


アントニオ・ガウディを見て大満足。宿に戻ろう。そろそろサイトの更新も
しなきゃな。
宿に戻ると、フロントの前で女の子が一人涙目になっていた。
しかも拙い英語で必死に何か訴えてる。


どうしたんだろう?何かトラブルでもあったのかな?
話を聞いていると、どうやら盗難にあった様子。は?マジで?

「どうしたの?」日本語で話しかける。

日本人女子が言う。「あっ!日本人の方ですね!私、ポルトガルの
リスボンから着いて、このフロントでチェクインしてパスポートチェックをして、
そのままマネーベルト(貴重品入れ)をフロントに置き忘れちゃって、
部屋に行って、トイレ行って。

ソレでさっき宿を出て、そういやスペインでは偽警官がポスポート見せろって、
脅してくる場合があるって聞いた事あるなって。

ソレで途中でコピー屋さんでパスポートをコピーしようと思ったら、
マネーベルトが無い事に気づいて。
だからこの宿に急いで戻って、荷物を全部見たんですけど、マネーベルトは
やっぱり無くて。

どうしよう!パスポートも現金も
トラベラーズチェックもクレジット
カードも全部無くなっちゃんですけど!」


「え!マジか!超大変じゃん!ていうか、何でマネーベルト腰に巻きつけてないの?
そのためのベルトスタイルなんだけど。」私が言う。

「スペインのマドリッドから夜行バスで来て、でも座って寝てる時、
お腹の部分がムズムズするなって。
だからいつもは必ずマネーベルトつけてるんですけど、今日はハズしてたんです。

ソレでフロントに置き忘れたマネーベルトをちょっとの隙に誰かが持って
行っちゃったんです!手持ちのお金もあんまり無くて・・・。
もう本当にどうしよう!!!!」日本人女子が言う。

彼女の名前はマサミちゃん。大学生で休みを使って1か月のヨーロッパ旅。
パックツアー旅は何度かした事あるらしいけど、1人旅は初めての事。
まだ日本を出て5日目。初めての1人旅で、しかも見知らぬ国でこんな事に
なっちゃって、最早マジ泣き。

フロントのお姉さんも真っ青。この宿で今までそんな盗難事件は初めてらしい。
慌ててお姉さんが言う。

「大丈夫。このフロントには防犯カメラがついているから。でも防犯カメラの映像、
マネージャーしか見れないの。スグにマネージャーを呼ぶから」
「良かったね!犯人は多分この宿の宿泊者だけど、きっとスグに見つかるね!」
私が言う。
「うん!きっとマネーベルト戻ってくるね!大丈夫だね!」マサミちゃんが言う。

「ところで現金やトラベラーズチェックはいくら入っていたの?」被害はドレ位?
私が言う。

「現金は200ユーロ(2万2千円)。トラベラーズチェックは
10,000ユーロ(10万1千円)くらい。クレジットカードは2枚です」
マサミちゃんが言う。

マジか!超大金じゃねーか!「トラベラーズチェックは全部他人に
悪用されないようにサインはしておいた?」私が聞く。

「サインはしてあるけど、ナンバーはチェックしてあるのが日本にしかない。
海外でもトラベラーズチェックは再発行出来るけど、番号がわからないから
ムリだよね。

しかも今手持ち30ユーロ(4000円)しか無いんですよ。
コレから本当にどうしよう・・・。」マサミちゃんが泣きながら言う。

とりあえずマサミちゃんを宿のラウンジのソファに座らせる。
落ち着いて。落ち着いて。

「マネーベルト戻ってくるかなぁ?
防犯カメラに犯人映ってるかなぁ?
お金どうしよう?

この後の旅どうしよう?
何でこんな事になっちゃったんだろう?」

マサミちゃん、また泣きそう。

とりあえず私は黙って話を聞く事しか出来ない。私も世界中で被害に遭った時、
いつも誰かが黙って優しく心配してくれて、ソレで何とかやってきたんだ。
今度は私がヒロミちゃんを助ける番だ。

「もう日本帰りたい。
もうツライ、ツライ、ツライ」


ひとしきり興奮したマサミちゃんの話を聞く。
「そうだよね。ツライよね。うん。うん。うん。」

黙ってそっとマサミちゃんの傍にいる。私もこうされて嬉しかったよ。
ただ傍にいるよ。話を聞くよ。マサミちゃんがちょっとでも安心するように。
安心するように。

「とにかく現金はもうわかんないけど・・・トラベラーズチェックは、ナンバーを
メモしてあるんだよね?じゃあソレは帰国したらどうにか戻ってきそう。良かったね!
ナンバー控えておいて!でもパスポートは痛いね。
あっ!とりあえずクレジットカード止めなきゃ!」
急いで宿のインターネットで日本のクレジットカード会社の電話番号をチェック。

旅の鉄板約束!クレジットカードの
ナンバーと、クレジットカード会社の
盗難受付電話番号と、

トラベラーズチェックのナンバーは
自分のメールの下書きフォルダに
控えておく事!


でもマサミちゃん、旅の初心者だし、知らなくて当然だよね・・・。
「でもマネーベルト盗難されて、でもスグ外に行ってマネーベルト無いの気づいて
良かったね。発覚が遅れれば遅れる程、大変な事になるもんね。
不幸中の幸いだよね。」

クレジットカード会社の盗難受付国際電話は、海外からでも無料なので、
フロントのお姉さんに言って、宿の電話からかけさせてもらう。

「すいません。今スペインにいて、盗難に遭ったんでクレジットカードを止めたくて。
でもひょっとして明日、犯人が見つかるかも知れなくて、そしたら一旦止めた
そのカード、また使う事は出来ますか?」マサミちゃんが言う。

「申し訳ありませんが、一旦止めれば、そのカードは使用停止になります」
カード会社の窓口係員さんが言う。

「え?じゃあどうすればイイですか?」マサミちゃんが言う。

「もし一旦止めて、そして再発行した場合、一週間位で再発行のカードは日本の
登録住所に送られます。ソコからご家族様に数日かけて海外に送って頂く事に
なります」

「そんなに時間かかるんだ・・・。もう・・・イイです。手持ちのお金も無いし、
もう旅終わるしか無い。帰国するしか無い・・・」
マサミちゃんが焦燥し切った顔で言う。

待ってマサミちゃん!カードを盗難されて悪用されても、届出をすれば保険が
効くって聞いた事あるよ!とりあえず明日犯人が見つかるかも知れない!
カード止めるのは一旦ストップしよう!

「すいません。カード戻ってくるかも知れないんで、カード停止は一旦
止めてください」
「かわりました。もし何かあればまた早急にお願いします」窓口係員が言う。
ヒロミちゃんは感謝を伝え、電話を切る。
「どうなるかわからないけど、とりあえずマネージャーが来て防犯カメラ
見せてくれるんだよね。私、マネーベルトが戻ってくるって信じてみる!」

そうだね。カード停止はいつでも出来るもんね。大丈夫。マネーベルトはきっと
戻ってくる!大丈夫。大丈夫だよ。
マサミちゃんはツライんでもう寝ますと。そうだね。ツラ過ぎる時は寝ちゃうと
イイよね。

あのね、マサミちゃん、あのね。私も南米で強盗に遭ったよ。泥棒にも遭ったよ。
凄い怖かったよ。凄い凄い怖かったよ。お金も何万も盗られたよ。

私もマサミちゃんと同じように
旅なんてしなきゃ良かったって
思ったよ。

でもね、怖い目に遭って、
乗り越えた分だけ強くなったよ。


ケイコさんも被害に遭った事あるんだ!そうか・・・。
私だけじゃ無いんですね・・・!
ソレを聞いてちょっと変な言い方だけど、安心しました。

マサミちゃんがちょっとでもホッとしてくれるなら良かった。私も被害に遭った事
あるよ。同じだね。一緒だね。
マサミちゃんが少し疲れた顔で言う。おやすみなさい。

マサミちゃんはベットへ。私はPCへ。この後、全てがうまくゆきますように・・・。
ああ、でも、ホントどうなっちゃうんだろう・・・。
彼女の心の平穏をちょっと祈る。おやすみなさい。

でも、事件はソレだけじゃ済まなかったのです。



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