東京横浜ライブレポ


「ONSENS」のコトは「akiramania」ってサイトで知った。

「akiramania」は旅の本とか出してるヒトがやってる日記形式のサイト。
半年前位にフシギ好きな友達から教えてもらった。
このサイトは、イロイロな本とか読んで自分が意識してたコトを
“やっぱりそうだよな!”って再確認させてくれる様なコトが書いてあって、
すげー共感出来るし、
ソレにイイ歳した大人が、どうもくだらないコトばっかり全力でやってて、
その様子が単純に面白くて、そして羨ましくもあるから毎日見てる。

でも正直、このサイトやってる「akira」ってヒトは
スピリチュアルいき過ぎだと思う。絶対普通の社会生活出来てない。
ボクはココまでイっちゃいたくはない。

んでその「akira」ってヒトが、ボーカルやってるのが
「ONSENS」ってバンドで。

ライブ感想集を読むと「ライブで人生が変わった!」みたいな
胡散臭い通信販売の広告アオリみたいなコトが、すげーいっぱい書いてあんの。
何言ってんだ。ライブごときで人生が変わる訳ねーじゃねーか。バカじゃねーの。
ってホント心底思うけど、
客にそんだけ言わせちゃう「ONSENS」ってのを1度“生”で見てみたい。
とも心底、思う。

とりあえず東京横浜2DAYSライブは、2日間全く別の曲やるって言うから
両日でチケットを予約した。



ライブ初日、都内のライブハウスへ辿りつくと、とにかくハコがすげー狭い。
さすが限定30名定員。でも、ココの空気感はキライじゃない。
キャッシャーで配布された手作り歌詞をパラパラ読んでるウチにとうとう、
“音楽の凄まじさ”を体感する強烈な宴が、幕を開ける。

「War」
歌の途中でステージ上の照明がチカチカ不安気に、点滅。
そのまま消える。
暗くて冷たい階段を一歩一歩下ってゆくイメージが急に沸いて来る。
口元が妖しく歪む。ココロに冷たくドス黒いキモチが蠢く。
全てが、全てがどんどん悪くなればイイさ。
そんな風に考えるボクは悪魔に魅入られた?

「Beautiful」
一転、南の島イメージ。さっきの照明はステージを柔らかく照らす。
さっきまでネガティブに引っ張られたココロがほぐされる。
しかもジワジワ系の常夏じゃない暑さ。優しい穏やかな風。心地良い。
半裸の男女が愛を語らう。嬉しい。

「Unconditional love」
ボクはススキ野原みたいな広い広い場所を走る走る。
不意に立ち止まると、ソコは見渡す限りのああ、大海原。
海風に髪流されるボクが360度全ての方向からの視点で見える。

何だか、全ての曲毎にフシギに“場所”のイメージが沸いて来る。
ソレは自分だったり、知らない誰かだったりするんだけど・・・。

「心がくしゃみをした朝」
子宮みたいな場所で淋しく膝を抱える。
でも小さな丸い穴から、光溢れる美しい外の世界が見える。
そして誰かと一緒に微笑む自分の未来?も見える。
ボクはソコへ向かう為に、安全な場所を飛び出した!

「Dancing BUDDHA」
ジャングルジムで遊ぶ、バカなだけが取り得の男子小学生達が
勢いだけでロケット作って月まで行っちゃった!
しかも月に行っても、やっぱりまたジャングルジムで遊んでんの!
お前らソレしかねーのかよ!?

「旅立ちの歌」
暗い路地に長い長い影が伸びる。
孤独。どうしようもなさ。
勇気を出してボクは、旅立つ。
もう長い長い影は寂しさの象徴じゃない。
“強さ”だ。

「人の一生屁のごとし」
祭りだ!
夏だ浴衣だ盆踊りだ!
何てめでたい夜だ!
ヨイヨイヨヨイ!!

そしてダブルタイコのみの歌なしパーカッション!!
マントをぐるりと羽織ったヤツが、雲に覆われた
灰色のコンクリートジャングル世界を、ヒトの流れに逆らって進む。
世界一周?灼熱の砂漠。続く大草原。アラビアの言葉。そして祭りの熱狂。
みるみる景色が移り変わってゆく。
最後は、絶対的な光ばかりの高み高みへと、昇る昇る。
ああ、コレは旅だ。コレこそ旅だ!

「Blinkers」
頭上が暑い。足がもつれる。息が苦しい。
“何か”がゴチャゴチャ五月蝿い。
ノイズ。
ノイズノイズノイズ。
でも、自分の真ん中だけは何故かとっても、静か。
ボクは自分で自分の目隠しを、外す。
ボクは自分で自分自身の道を、選ぶ。

「今日は死ぬのにもってこいの日だ」
ネイティブインディアンの乾いた土地。
ゴツゴツ岩山。鷹が青空を旋回する。
お爺ちゃんが笑う。赤ちゃんも笑う。
命は尊い。命はいとおしい。命は、繋がる。

「Merry christmas」
ショーウィンドウはキラキラ。街は浮き足だってる。
ボクはサンタのカッコでチラシ配り。みんな笑顔なのが嬉しい。
メリークリスマス!さっきはブッダで今度はキリストの曲?
でも別にどうだってイイ。ソコに喜びがあれば。祝福があれば。
見上げた夜空に本物のトナカイとサンタがしゃららん飛んだ。

「ぼくの居場所」
イメージではなく、現実に今いる場所がどこなのか、まるで見失う。
ライブ中?だっけ?東京?だっけ?不安がボクが襲う襲う。・・・怖い!
一瞬の軽い眩暈のあと、世界が一気に膨張する。
ボクは牧草地を空から見下ろす。牛?羊?ブランコ?ハイジ?
ただ繰り返される世界は世界は、まるっきり平和で退屈でそして、美しい。
でもボクが生きる場所はココじゃないから、ソレをまた探す旅に出るよ。

「Alone」
0地点。水平線。地平線。
ボクは圧倒的で絶対的な太陽の光のモトにただ、いる。
ソレは、祝福。
人間。人間と言うコト。
人間であると言う喜び。
人間だからこそ、苦しんだり、悲しんだり、泣いたり、
嬉しくなれたり、楽しめたり、出来る。
人間だからこそ、同じ人間である誰かと出会うコトが、出来る。
人間だからこそ、同じ人間である誰かと繋がるコトが、出来るんだ。

「おやすみ」
全部忘れてしまってもイイ。
全部なかったコトにだってすればイイ。
でもこの歌はさよならの歌じゃないから。
新しく美しい始まりを歌う、歌だから。
だからそう。またね。
そう。またねなんだ。


そうして全ての演奏が終わったんだけど引き続き、
さっきまでタイコを叩いてた男のヒトによるアフリカの木琴?らしい、
パラフォンと呼ばれる楽器のミニステージが始まる。

初めて見る楽器。下にヒョウタンみたいなのがくっついてる。変なカタチ。
初めて聴く音。ペコポコパンちょっとかわいい音。違うトコにつれてかれる感じ。
音符自体が実態を持つ生き物みたいに、木製の鍵盤の上を遊ぶように転がるように
跳ねる跳ねる!もちろん演奏してる本人だって、すげー楽しそうなカオしてる!

こっちまでウキウキしちゃって、その音に合わせて歌だって歌いたくなったんだけど、
客がそんなコトしちゃマズイだろうってグッと、我慢した。

でもこのバンドの人達みたく、こんなに“音と一緒に遊ぶ”コトを楽しめるなら
自分も、何か楽器をしてみたいかも。なんてすげー久々に思ったり、したよ。



その日の打ち上げは、お客さんでも誰でも参加出来るみたいだったけど、
自分みたいな新参者が混じっちゃダメだろう。って思って、帰るコトにした。
まだライブは、お楽しみは、明日もあるのだし。

ライブハウスから駅までの道のりは、テンションがスゲー高い自分になってたから、
鼻歌を歌いつつ、小学生の時みたく、わざと水溜りをジャブジャブ踏みつつ歩いた。
今から電車乗るってのに、スニーカーはびしゃびしゃになってしまった。
だけどボクはそんなの別に、
構いや、しなかったんだ。



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