アルゼンチン:4 「巨大な氷河に死にそうになる」


同室のオーストラリア人女子の「キャルメラ!」なんつう超カワイイ寝言で起床。
旅の始めにアメリカ人の「チェンジ ウィズ ミー!」なんて大声寝言を聞いて、
外人も寝言言うんだ!とか、犬のオナラを初めて聞いた時位ビックリしたのを思い出す。


巨大な「氷の塊」(氷壁)が、爆音で湖に雪崩落ちる「氷河群」が凄まじいと噂の
ペリト・モレノ氷河へゆく。

バスの車窓からサンライズ。
湖に一筋の大きな光の橋がかかる。
太陽が水面に鏡みたく反射して、頭上と足元の二箇所で輝く。
太陽は白いけど、ずっと見てると赤く見えてくる。

ちなみにこのバス、天井から茶色の砂が降ってくる。
ほこりがバラバラ落ちてくるって日本じゃ考えられないよなぁと、
ムダにしみじみしていると、旧式バスは氷河に到着!


氷河が峰になってて視界の届く範囲、ずうっと遠くまで続く。
空にも向かってるみたい。
氷河が峰になってて視界の届く範囲、ずうっと遠くまで続く。
空にも向かってるみたい。

突然「パンッ」と空砲を撃つような音。見ると氷河に大きな亀裂が走ってる。
「メキメキメキッ」と氷河が割れる。
氷河のカケラが氷河本体に何度もぶつかってパラパラと湖に落下する。

バラバラバラッ。

耳をつんざくような大きな大きな音が聴こえる。

なんだコレ、うるせー!
でもすげー!

見てるととにかく、もう、すげー!とかしか出てこねー!
頭相当悪いけど、もうソレしかない。オイ、マジですげーなコレ!

氷河のカケラは砂煙のような大きな大きな白いしぶきを上げながら湖に沈んでゆく。
落ちた個所では湖に波紋が広がる。

誰かが「エッオー」なんて叫ぶと、その声は氷河にはねかえって
2回くりかえされる。
氷河びこ。だ。

そして時折、くじらが水面に顔を出すように、潜水艦が浮上するように、
何の前触れもなく大きな氷の塊が水面からしぶきをあげて浮かび上がってきて
しばらくぐらぐら浮かんで、またぶくぶくゆっくり沈む。

目の前の壮絶過ぎる光景を、今まで見た何かと比較しようも、ホント何も思い浮かばない。
えーと「氷河」つーと、アレか?マンガのセイント聖也とかに出てくる何かのキャラか?
とにかく氷河、ホント凄過ぎて最早超意味不明。
マジ何なんだコレ!?
つか、いや氷河なんだけど。

帰りのバスでは、寝込むか、または歌を大声で歌いだしたい気分。
許容範囲オーバーなんじゃー!


そしてサンセットはニメス湖へ。立ち入り禁止の柵を越えて、地平線全部が見える場所へ。
ブルーブルーマウンテン!を境に、左手には黄色から水色そして青色のグラデーション。
右手はピンク色から黄色が少し溶けて青色のグラデーション。
東西で空の色が違うってどーゆーコト!?
足元には綿毛を揺らす黄色いタンポポと、大きく花開く白いガーベラ。
頭上には編隊を組む鳥。
すげー寒いけど、夢みたいな情景に中々その場を立ち去れない。

月が昇る頃合に馬がヒヒンとひと鳴き。



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