トルコ「浮浪者とセクシーと他の星のサンセットで死にそうになる」


ヨーロッパを抜けてシルクロードの国トルコ!

飛行機は夕方着だったので、とりあえず街に出て宿を探す。
でも事前にネットで調べておいた予定の安宿はもういっぱいで。
安宿街を一軒一軒自分の足で探す事に。

と、目の前にベビーカー的なものを押してる髪ボサボサの二人組。
あ、浮浪者か。トルコにも浮浪者いるんだ。
と思っていたら、あちらから話しかけられる。

トルコの浮浪者に話しかけられちゃったよ。
でも私も寄付するほどの余裕は無いんだ。ごめんなさい。

と、でもよく話を聞くと、スウェーデンからの夫婦と赤ちゃんの3人旅だと。
大量のベビーグッズ(オムツとか)を持ち、そして2人の髪型良く見るとドレッド。
オサボサでは無かった。そしてベビーカーにはまだ生まれて2歳の赤ちゃん子供。
既に3か月の旅をしていると。

ここで私はとっても衝撃を受ける。
「そんな状態でも旅は出来るんだ!」と。

子供が産まれたら、どこかで旅はもう出来ないと思っていた。
家庭に入ったら、もう長い旅は出来ないと思っていた。

でも、ベビーカーに乗せてでも、バックパッカー的な旅は出来るんだ!と。
何か、希望のようなものを受け取った気がした。

そして一緒に宿を探すと、値段の折り合う宿が見つかったので、一緒にチェックイン。
その3人組の存在そのものに感謝して、私はドミトリーへ。3人はダブルルームへ。
出逢ってくださってありがとうございます。おやすみなさい。


そしてドミトリーに入ると、何だかみんな気があったみたいで、凄い話が盛り上がってて、
私も混ぜてもらう。

トルコ人の1人が
「あなた、日本人なの?私、友達から回ってきたアニメのキューティーハニーのDVDを見たわよ!
あれはステキなラブロマンスね!」
え?キューティーハニー?あれは日本ではちょっとセクシー過ぎる話しなのだが・・・。と言うと、
「何言ってるの!?あれはラブロマンスのお話しよ!」と。

そうだよなーイスラムの国って、淑女でいなくちゃいけない、ていうか、旦那と他の女性にしか
顔を見せない宗教とかもあるもんなぁー。
そういう国から見たら、あのアニメは刺激的だけど、ラブロマンスって言い張れば見れるもんなー。

でも日本のアニメ、見てくれてありがとう。
それから彼女はドミトリーのベッドに、自分の寝てる姿を外から見えないようにマイシーツを横に張って、
おおう、やっぱり淑女でいなくちゃいけないんだ。と言うイスラムの教えを体現してくれた姿で眠りについていた。

そして翌朝、トルコ人は、シャワー室からバスタオル1枚の姿で部屋に戻ってきて、そのセクシーさ加減に、
あれ?男子も使うシャワー室からこのドミトリーまで結構距離があるけど、バスタオル1枚で出入りしちゃうのね。
ていうか、昨日のベットにシーツをはる位の淑女な姿はどうなったのだ?

淑女なのかセクシーなのか、どっちかにしろよ!みたいな。
トルコの謎を勝手に深めながら、私は1人、寺院と教会とマーケットへ観光へ。


まずブルーモスクと呼ばれる、世界一美しい寺院。イスラム教のモスクへ向かう。
異宗教お断りのモスクが実はたくさん存在するのだが、ここは観光客も受け入れる度量の深さ。
周囲のイスラムの人の真似をして、私もお祈りをする。
もうなー。世界平和とかを祈るしか無いもんなー。あと家族の無事とかなー。南無南無。

モスクを出ると、自分の中がやたら穏やかな感じ。やっぱり「祈りの場」っていいな。

そのまま歩くと、目の前には大きな教会。
事前に調べておいたんだけど、ブルーモスクの近くには、キリスト教のアヤソフィアという教会が
あるらしく。
宿で地図を確認しておいて、そうかー。ムスクと教会が地図上では凄く近くにあるのかー。
宗教が違っても、受け入れあってるんだー。凄いなー。とは思っていたんだけど、こんな近くにあるとは!!

最早、地図上で徒歩圏内つうよりも、数分レベルの近さじゃん!モスク出たら、その場から
教会見えるレベルじゃん!
イスラム教とキリスト教の、異宗教も受け入れ合う、トルコのその大儀な、東洋と西洋の交じり合う
シルクロードさ加減に驚愕。

もちろん教会にも入ってお祈りさせて頂く。
やっぱり「祈りの場」って気持ち良い。


そのまま、グランド・バザールと言う名前のマーケットへ。
お土産ものが多いけど、活気があって面白いね!
ニコニコ歩いているとお土産屋の一店舗で、日本人らしい女の子が働いている。
あれ?まずトルコ、女性の社会進出が遅れていて、女性が働いているだけで珍しいのに、何で日本人?

話しを聞くと、このお土産物屋さんと仲良くなったから「勝手に」働いていると。
そこで、今日からこのお土産屋さんの家に数日居候しようと思ってるんだけど、まあ絶対に
大丈夫だとは思うんだけど、女子だから、一人は不安だから、一緒に居候しない?と。

えっ、トルコ人の家に居候?面白そう!了解!了解!!
わーいわーい!と。
とりあえず荷物を取りに安宿に戻る。
そしてバザールに着くと、居候する予定のお土産屋のお父さんが早速!と家まで連れて行ってくれた。
居候する家は、バザールでお土産屋さんを出せるくらいの高い家賃を払える比較的裕福な家なんだけど、
一戸建てでは無く、マンションの一室で、何部屋かある部屋の一室を私と彼女に貸してくれた。
そしてその日はお父さんが腕をふるって、魚介類のパエリエを作ってくれた。

そして翌日、彼女は再度バザールでお手伝い。
私は違うバザールへ足を向けた。
そこで凄い気にいった絵が飾られてある画商があって。
昨日の日本人女性の真似をして、私も普通に「勝手に」画商で働いた。
テーブルを拭いたり、お店の外からウロウロと、並べてある絵を眺めたり。
いかにもアジアンな観光客の私が外から画商を眺めているので、興味をもってお店に入ってくれる
ヨーロピアン風な観光客もいて、私はガッツポーズ!
しかも、その観光客が絵を買ってくれて、更にガッツポーズ!

数時間勝手に働いて、実はあの絵が欲しい。と、(私はお金は無いけど、絵を買う趣味があります)と
交渉すると、結構なディスカウントをしてくれて、更に私はガッツポーズ!で。

その時点で15時くらいだったので、「今日も良く働いた!」と意味不明な満足をして
居候してる家まで戻る。

ところがコレが全然帰れなくて。

居候してるマンションは、周りのマンションとよく似た作りで、全然差が無く、普通に帰れない。
普通に迷子。
多分、ここだろう。とチャイムを鳴らしても、違うお父さんとお母さんが出てくる。
2,3軒同じ事を繰り返す。
でも何故かどうぞどうぞと家に入れてくれて、トルコティーが出てきたりもする家まで出てくる。
しかも子供の学校の教科書とかも見せてくれる?何で?話題作り?
まあ普通に初対面なのに、しかもいきなり迷子の日本人を、家族団らんに混ぜてくれて、
トルコは特に親日国家だよ。とか昔聞いた言葉を思い出す。
そういえば、居候してるお父さんの携帯番号聞いてたな。と超今更ながらに思い出して、
その家のお父さんに携帯をかけてもらう。

すると、数十軒並ぶマンションの3軒隣に過ぎないと判明。
そして今度は家まで連れ行ってくれて、トルコ人、マジ優しいぜ。と普通に感激。
迷子の外国人をいきなり家に入れてくれて、しかもお茶まで出してくれて、
中々出来る事じゃないよなぁと。
でも、私が危ない人だったらどうするつもりだったんだろう。
もうちょっとは危機管理能力持てよ!トルコ人!

そして居候して何日か過ぎ、隣に住む、地味なショールで顔をすっぽり隠す、
信仰厚い人と見せて実は超図々しいお母さんとかの存在を見て、信仰の深さは人格と関係無い事を
知ったりしつつ、私は次の土地へ。


そう、トルコと言えば、カッパドキア!
柔らかい地層と固い地層が重なり合い、浸食し合った結果、出来たキノコ型の巨石が
にょきにょき乱立する地域。

レンタル自転車で、地域一帯に広がる、自然が作ったキノコ岩を巡る。
ローズ色の岩で出来たローズバレー。
3つの岩が並ぶ姉妹の岩。
巨大すぎて登る事も出来るキノコ岩。
つーか何で自然の風や雨水に浸食されただけで、岩々がそんなカタチになっちゃってるの!?
ミラクル凄すぎるだろ!
そのキノコ岩群、ファンタスティック過ぎて、私は少々の目眩。


翌日は地下都市へ。この地は、昔、イスラム教からのキリスト教迫害で、逃げるために地下に
都市を作ったもので。凄いものだと、地下都市に食料貯蔵庫、食堂、礼拝堂、更には家畜部屋まであり、
3〜5万人規模の人間が住めてたと。
その地下都市に入ると、内部は迷路みたいで、でもきちんと道筋られてて、地下にこんなところが
あるんだ!しかも実際に人が住んでたんだ!ゲームで言うと、ダンジョンつうか!
正に映画みたいつうか!すげー場所だな!と更に驚愕!


夕方はそのままサンセットが良く見えるキノコ岩に移動して、暮れる太陽を臨む。
そのあまりの壮大さは「宇宙の他の星に暮れるサンセット」にも見えて。
あと、何で地球はヒトツしか無いのに、戦争をするんだろうとも。

そしてああ、私はいま旅をしているのだなぁ、とぼんやりと再度、思った。



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